こんにちは、サステナブルライターの山下です。
4月27日、農林水産省と環境省が最新の食品ロス量の推計値を発表しました。
平成30年度(2018年度)の食品ロス量は、なんとこれまでで最小の600万トン。
食品ロス量の推計を始めた平成24年度以降でもっとも少ない量となりました。
(出典:農林水産省)
前年度と比べると、約12万トン、2%の減少です。
事業系と家庭系別の減少率などは、以下の通りです。
中でも、家庭からの食品ロスの減少割合が大きいことがわかります。
(出典:農林水産省)
しかし、この600万トンの食品ロスを国民一人当たりに換算すると、
毎日お茶碗1杯分(約130g)の食糧を捨てていることになります。
1年間では約47kgと、年間1人当たりのお米の消費量54kgに近い数字です。
食品ロス量が史上もっとも少なくなったことは大変喜ばしいことですが、
この記録更新が毎年続くように、さらに取り組みを進めていきたいですね。
日本各地のユニークな食品ロス削減アクション4選
さて、今回は、日本各地でスタートしたばかりのユニークな食品ロス削減の取り組みについてご紹介しましょう。
最近では、多くの企業や自治体が多彩なアイディアをもちよって
食品ロスを減らそうと努力を重ねています。
何事にも楽しく取り組むことが、長く継続するためのコツかもしれませんね。
自販機で食品ロス減らすコカ・コーラボトラーズジャパン
4月16日、コカ・コーラボトラーズジャパン株式会社は、
滋賀県守山市と「包括連携に関する協定」を結んだことを発表しました。
地域社会をより住みやすくするために、
SDGs達成などに取り組むことを約束したものです。
この協定の中に、自動販売機を活用した食品ロス削減の取り組みがあります。
「フードロス対策自販機」では、通常の飲料を販売すると同時に、
余剰在庫となってしまった飲料を半額ほどで販売します。
まさに、自販機での在庫一掃セールといえますね。
もちろん、賞味期限が近いという点をのぞけば通常の飲料と違いはありません。
しかも、賞味期限が近いといっても約2ヶ月前とのこと。
きっと多くの方が半額の飲料を買うだろうと予想されます。
「フードロス対策自販機」が設置されたのは、
守山市の環境学習都市宣言記念公園の交流拠点施設です。
お近くの方は、ぜひ探しに行ってみてはいかがでしょうか。
(出典:コカ・コーラボトラーズジャパン株式会社)
2030年に食品ロス半減を目指す富山県の取り組み
富山県では、県が大手コンビニチェーンと協力したキャンペーンを実施しています。
県内に133店舗を展開するセブンイレブンで、
賞味期限間近の食品から買ってもらうように促すキャンペーンです。
キャンペーンの内容はとてもシンプル。
陳列されている商品を手前から買っていくだけです。
富山県は、商品を手前からとるよう促す帯を陳列棚に設置し、
食品ロスの削減をより多くの人に知ってもらうように努めています。
コンビニエンスストアやスーパーマーケットでは、
賞味期限の近い商品を手前に、そうではない商品を奥の方に並べています。
ときどき商品を棚の奥から取り出して買っている人がいるようですが、
これは食品ロスの発生につながりやすく、おすすめできません。
すぐに食べる食品なら、陳列棚の手前から取るように心がけましょう。
2030年に食品ロス半減を目指す富山県では、
このほかにもフードドライブの活用などにも取り組んでいるところです。
県の「とやま食ロスゼロ作戦」のウェブサイトでは、
『使いきり 食べきり すっきり診断』という診断ができます。
これは、ご自身やご家族が食品ロスに対して、
どれくらい行動や意識できているかの診断ツール。
買い物編や料理編、保存編など、
場面ごとにご自身の取り組み度合いをチェックできます。
簡単に診断できるので、ぜひご家族で試してみてくださいね。
(出典:とやま食ロスゼロ作戦)
無印良品が地産地消で食品ロス削減に取り組む
無印良品のブランドで知られる株式会社良品計画は、
5月14日に関東エリアで初のスーパーマーケットに併設する
「無印良品 港南台バーズ」をグランドオープンしました。
2020年8月に閉店した高島屋港南台店の跡地を活用したものです。
株式会社良品計画は、地元の横浜市と協力しながら地産地消などをすすめ、
食品ロスの削減に取り組むことを約束しています。
その取り組みの1つが、フードドライブの設置。
家庭で余っている食品を、必要としている人に渡す仕組みです。
「無印良品 港南台バーズ」では、フードドライブの回収ボックスを設置し、
家庭で生まれる食品ロスの削減にも取り組んでいます。
また、食品の量り売りも行い、必要な分だけ販売するスタイルを徹底しています。
量り売りできるのは、コーヒーやナッツ、ドライフルーツなど。
20グラム以上なら1グラムずつ指定できるため、
買いすぎによる食品ロスの発生を防ぐことができます。
「無印良品 港南台バーズ」で販売される生鮮食品は、
約3割が地元神奈川県産とのこと。
地産地消にしっかりと取り組むことで、
食品ロスを減らしながら地域に愛されるお店になってほしいですね。
(出典:株式会社良品計画)
家庭の生ゴミを肥料に。ゴミ減量につながる循環型システム
さて、最後は宮崎県新富町とパナソニック株式会社などによる取り組みです。
5月7日、パナソニック株式会社は宮崎県新富町、南九州大学と
食品ロスや生ゴミの減量化に向けた
産学官の包括協定契約を結んだことを発表しました。
新富町の家庭からの生ゴミを町が回収し、
コンポストボックスによって肥料に生まれ変わらせ、
市民農園などで活用する取り組みです。
(出典:パナソニック株式会社)
新富町では、家庭の燃えるごみの約4割が生ゴミだといいます。
この生ゴミを乾燥させ、肥料に変えることでゴミの減量にもつながります。
生ゴミが肥料に生まれ変わり、
農園の肥料として作物の肥やしになる循環型のシステムです。
こうした一連の取り組みによって、
新富町の住民のみなさんの意識改革も図る予定だといいます。
できるだけ無駄を出さない循環システムの構築に期待したいですね。
ひとりひとりの力がきっと世界をかえる
今回は、2018年度の日本の食品ロス量が
史上もっとも少なかったというニュースとともに、
日本各地の食品ロス削減の取り組みを4つご紹介しました。
もちろん、全国ではもっとさまざまなアクションが生まれており、
こちらもまたご紹介したいと思います。
食品ロスの削減に特効薬はなく、
ひとりひとりの地道な積み重ねが大きな実を結ぶものではないでしょうか。
私たちの取り組みは決して小さなものではないということを心に刻んで、
これからも一緒に頑張っていきましょう!
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サステナブルライター山下 略歴
電力会社やベンチャー企業でエネルギー関連のビジネスに従事したのち、2019年にサステナブルライターとして独立しました。「家庭の省エネエキスパート」資格を持ち、自治体において気候変動や地球温暖化に関するセミナーを実施した経験もあります。環境問題をもっともっと身近に感じてもらえるよう、わかりやすい記事を心がけています。
【実績】「RE JOURNAL(VOL.02)」「SOLAR JOURNAL(VOL.33)」「情報誌グローバルネット 2020年4月号」ほか
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