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「破棄」と「廃棄」の違いとは?

公開日: 更新日:2023.12.22
「破棄」と「廃棄」の違いとは?


何を「破棄」し、何を「廃棄」するか
これはただの言葉遊びではなく、私たちの日常生活や環境、さらには法的な側面にも影響を与えています。

よく「リサイクルしましょう」と言いますが、その前にどうやって物を処分するかが重要です。間違った方法で処分してしまうと、意外と高い代償が発生することも。

ここでは破棄と廃棄の違いと、その意味するところをわかりやすくお伝えします。一緒に、もっと賢い“捨て方”を学んでいきましょう!


「破棄」と「廃棄」の違いとその法的・社会的意義

物を壊している

基本概念と日常生活での適用

「破棄(はき)」と「廃棄(はいき)」という言葉は一見似ているようで、日常生活でも混同されがちですが、それぞれには明確な違いが存在します。
破棄は、不要な物やデータを完全に破壊する行為です。たとえば、機密文書をシュレッダーで粉砕する、、壊れた家電製品を解体するなどがこれに当たります。一方、廃棄は使用価値が失われた物を適切な手段で処理すること、使わなくなった物を処分する過程そのもの、またはその状態を指すことが一般的です。これには廃棄物を専門の処理場に持ち込むことも含まれます。
破棄がある程度「物理的な破壊」を伴うのに対して、廃棄はそのような要素を必ずしも含まない点が異なります。
処分と処理、回収と破棄、リサイクルと廃棄物といった関連する用語の意味を理解することで、より効率的かつ環境に優しい選択が可能になります。

法的な制約と企業・個人への影響

破棄と廃棄には法的な側面もあります。特に、機密文書や個人情報が関わる場合、法的な制限が多く存在します。
日本においては、情報漏洩防止に関する法律特許法商標法、そして個人情報保護法などがあり、これらの法律は企業や個人に対して厳格なガイドラインを提供しています。例として、機密情報を含む文書は専用のシュレッダーで破壊する必要があります。また、個人情報が記載された文書の廃棄には特別な手段が必要とされ、違反すると罰則が科せられます。

環境への影響と社会的課題

破棄と廃棄が環境に与える影響は少なくありません。特に、不適切な廃棄がもたらす環境への負荷は小さくありません
例えば、粗大ごみの不法投棄は、地球温暖化に影響を与えるメタンガスの発生源となる可能性があります。日本では、このような不法投棄には厳しい罰則が設けられています。
一方で、効率的なリサイクルや廃棄物処理が進められており、その取り組みは環境保護にも寄与しています。このようにして、法的規制と環境保全がうまく結びつくことで、持続可能な社会が形成されるのです。

企業における破棄と廃棄の取り扱い

大きな分別用ゴミ箱

処分場と処理場の選定

企業が適切な処分場や処理場を選ぶ過程は、非常に重要な意味を持ちます
日本の環境省の2020年度のデータによれば、産業廃棄物の総排出量は3億8,596万トンに上り、これには有害な物質を含むものもあります。このような大量の廃棄物を適切に処理するためには、処分場や処理場の選定がキーとなります。
例えば、特別な処理を必要とする有害物質については、それに対応した専門の処理場を選ぶ必要があります。ここでの選定が不適切であれば、企業が罰せられるだけでなく、企業イメージも大きく傷つく可能性があります。
このため、多くの企業は内部のガイドラインを設けたり、外部のコンサルティング会社に依頼して、法令遵守と環境配慮を確実に行っています。

リサイクルセンターの役割

リサイクルセンターは企業が生成する廃棄物の再生を担当し、特に紙、ガラス、プラスチックなど多くの種類の廃棄物を処理します。近年、循環型社会が強く推進されており、企業もその一部として積極的にリサイクルセンターと提携しています。
例えば、大手企業の多くは独自のリサイクルプログラムを運営しており、2030年までにプラスチックのリサイクル率90%以上を目指しています。これは、リサイクルされた材料を新たな製品に再利用することで、新しい資源の消費を減らし、環境負荷を軽減するという目標があります。これにより、企業は社会的な評価を高めるだけでなく、経済的にもコスト削減に繋がる可能性があります。

リユースセンターでの取り扱い

リユースセンターは、まだ使用価値がある廃棄物、特に電子機器や家具などを再利用する場所です。多くの企業は不要となったオフィス用品をこうしたリユースセンターに寄付し、それらが新たな生命を得ることで、資源の有効活用を促しています。この取り組みは、企業の社会貢献活動としても高く評価されます。
近年、持続可能な開発目標(SDGs)に対する企業の取り組みが評価されるようになり、リユースセンターとの連携は、企業がSDGs達成に貢献しているとされ、その社会的評価を高める要素となっています。

個人が破棄と廃棄を使い分けるシーン

産業廃棄物

ごみと資源の分類

日常生活において「破棄」と「廃棄」を使い分ける際の第一歩は、ごみと資源を正確に分類することです。この作業は単にゴミ箱に何を捨てるかの問題以上に、環境に与える影響やリサイクル可能な資源の有効活用に直結しています。
食品パッケージ、ビン、缶など、一見するとゴミに見える物品でもリサイクルの対象となる可能性があります。そのようなアイテムには「プラ」や「紙」、「ガラス」などのマークが記載されていることが多く、これがリサイクル資源であることを示しています。
日本環境省の2018年のデータによると、ごみのうち約20%がリサイクルされているという事実も忘れてはいけません。ただし、この数字が更に向上するには、一人ひとりが分類作業を正確に行う責任があります。例えば、誤ってプラスチック製の容器を一般ごみとして破棄してしまうと、そのアイテムは焼却されたり埋立地に埋められたりしてしまいます。その結果、不必要なCO2排出が生じ、リサイクルチャンスを逸してしまうわけです。

焼却炉と埋立地の選択

ごみの「破棄」と「廃棄」には、その後の処理過程も大きく影響します。日本においては、大抵の場合、焼却炉と埋立地のいずれかで処理されます。
焼却炉は、高温でごみを燃やし有害な物質を除去または減少させる方法です。特に、発熱量が高いごみや有害物質を多く含むごみは焼却が推奨されます。しかし、焼却にはCO2排出などの環境負荷があるため、できる限りリサイクルやリユースを優先するよう心がけることが大切です。
一方で、埋立地はごみを地中に埋める方法であり、有機物が多い場合や他の処理方法が適さない場合に使用されます。ただし、埋立地も空間が限られており、その使用は持続的ではありません。したがって、どのようなゴミをどこで処理するのかを考慮する際には、その後の影響も考慮する必要があります。

持続可能な開発と個人

持続可能な開発(SDGs)において、個々の消費や廃棄行動が大きな意味を持ちます。2019年の国連報告によれば、家庭からの総CO2排出量の約30%が廃棄物に関連しています。これは非常に重要な数字であり、ごみの処理方法を選ぶ個々の判断が、全体としてどれだけの環境負荷を生み出しているのかを象徴しています。
具体的な行動としては、エネルギー効率の良い製品を選ぶ、不要なものは買わない、修理やリユースを積極的に行う、食品のロスを減らすなどがあります。これらの行動一つ一つが、ゴミの量を減らし、結果的にはリサイクルされる資源の量を増やすことにつながります。個人の行動が環境負荷を大きく左右することを理解し、持続可能な選択を行うことが今後ますます重要になっています。

このように、個人の「破棄」や「廃棄」の選択は、資源の有効活用や環境負荷削減に大いに関わっています。何をどう捨てるかという小さな選択が、地球規模での持続可能性に寄与するのです。

破棄と廃棄の環境への影響

リサイクル

環境問題と廃棄物

廃棄物処理が環境に与える影響は軽視できません。日本の環境省が2019年に発表した報告によれば、廃棄物からのメタンガス排出量は年間約150万トンとされています。このメタンガスは温室効果ガスとして二酸化炭素の25倍の影響力を持つ、非常に危険なガスです。一般的な埋立地では、地下水汚染も懸念されます。これらの環境問題は廃棄物処理の際において、地方自治体や個人がどのようにアプローチをするかによって、大きく影響されます。
自治体が発表するガイドラインや規制に従い、何を焼却して何を埋立てるかを正確に判断する必要があります。特に有害物質を含む廃棄物は適切な処理が必須です。有機物が多いごみは通常、生分解が可能なものも多く、埋立地で処理されることが一般的ですが、こうしたごみでもメタンガスの発生が問題になります。したがって、個人レベルでも環境への影響を最小限に抑えるよう、適切な廃棄方法を選ぶべきです。

資源循環の重要性

日本は資源に乏しい国であり、持続可能な社会を作るためには資源の有効利用が不可欠です。2022年の環境省のデータによれば、リサイクル率は約20%でした。この数字を高めるためには、循環型社会を目指して資源の有効利用が求められます。その一つの手段として、リサイクルやコンポスティング、エネルギー回収などがあります。
資源循環とは、限られた資源を効率的に使い、廃棄物の生成を最小限に抑えるとともに、出てきた廃棄物も再び資源として循環させる概念です。個人が日常でできることとしては、不要になった製品や物品を捨てる前に、それが再利用やリサイクル、あるいは修理可能かどうかを考慮することです。これにより、新たな製品の生産に必要なエネルギーや資源の消費を抑制することができます。

リサイクル品とリユース品

リサイクル品とリユース品の違いは、その処理方法と環境への影響にあります。リサイクル品は一度分解され、その素材が新しい製品として生まれ変わります。これにはエネルギーがかかる場合も多く、そのプロセス自体が環境に負荷をかける可能性もあります。一方で、リユース品はそのまままたは少しの修理で再利用されます。そのため、新しい製品を生産するよりも環境負荷が大幅に低いとされています。
実際に、NPO法人リユース・ビジネス協議会の調査によれば、リユースが一般化すると年間で約300万トンのCO2が削減されると言われています。これは廃棄物に関連するCO2排出量を減らす大きな手段となり得ます。このようにして、個々の選択が大きな環境改善につながるのです。

破棄と廃棄に関する誤解と注意点

古いパソコン

破棄・廃棄機器の誤用とそのリスク

シュレッダー機や粉砕機の誤用は、単に機械の故障だけでなく、重大な安全問題を引き起こす可能性があります。
シュレッダー機では、紙クリップやステープラーが混じることで機械が壊れるリスクがありますし、過度な連続使用は過熱と火災の原因となることが消費者庁の調査で報告されています。粉砕機の場合も、硬い物質や液体、高温の物を不適切に処理すると、機械の故障や爆発、火災が起きる可能性があります。労働安全衛生研究情報センターによれば、過去5年間で200件以上の労働災害が報告されています。
これらの機器を安全に使用するためには、取扱説明書をしっかり読み、定期的なメンテナンスが不可欠です。

個人情報の処理と環境への誤解

個人情報の不適切な処分は、社会的な問題を引き起こすだけでなく、環境にも影響を与えます。
例えば、古いパソコンを単純に捨てると、その中の個人情報が不正にアクセスされたり詐欺に利用される可能性が高く、国立情報学研究所によると年間約3万件の個人情報流出事例があると報告されています。また、焼却やリサイクルに関する誤解もあります。焼却はダイオキシン排出が削減されている一方、リサイクルもエネルギーを消費する場合があるので、どちらも環境に対する影響は一概には言えません。

回収場と埋立地に対する先入観と現実

回収場や埋立地には一般にマイナスのイメージがありますが、実際は進化しています。経済産業省によれば、回収された廃棄物の約60%はリサイクルやエネルギー回収に用いられています
また、埋立地も進化しており、閉鎖後には太陽光発電などの再生可能エネルギー施設として活用されるケースもあります。厚生労働省のデータによると、埋立する前に高度な分別と有害物質の除去が行われています。一見無駄に見える処理方法も、実は持続可能な運用がされているのです。


破棄、廃棄・・・これらの概念はただの「捨て方」ではなく、社会全体、そして地球環境にも影響を与えます。

そして、持続可能な開発目標(SDGs)にも繋がる話です。SDGsの目標12は「持続可能な消費と生産形態」を推進すること。適切な破棄と廃棄は、廃棄物の量を減らし、リサイクルやリユースを促進することで、この目標に貢献するのです。

私たち一人一人が日常で少しずつ意識するだけで、大きな変化が生まれるかもしれません。賢い「捨て方」で、次世代に美しい地球を残しましょう。






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この記事を書いた人

村上

サステナブルライターとして、SDGsや生活の知恵を発信しています。育児をしながら、子どもと一緒に地球に優しい生活を目指し中。趣味は料理と美術館巡り。

監修者

文 美月

株式会社ロスゼロ 代表取締役
大学卒業後、金融機関・結婚・出産を経て2001年起業。ヘアアクセサリーECで約450万点を販売したのち、リユースにも注力。途上国10か国への寄贈、職業支援を行う。「もったいないものを活かす」リユース経験を活かし、2018年ロスゼロを開始。趣味は運動と長風呂。