こんにちは、ライターの橋本です。
私は以前デンマーク留学をしていたのですが、滞在中に経験した「ダンプスターダイビング」という活動がとても衝撃的かつ改めて食べ物の価値を見直すきっかけになったため共有してみたいと思います!
ダンプスターダイビングとは?
「ダンプスターダイビング(英:Dumpster Diving)」とは、”スーパーなどの店舗に設置されたゴミ箱を漁ること” 。
主に閉店後のゴミ置き場に忍び込み、食品や洋服、本、雑貨などまだ使用できるにも関わらず廃棄されているものを自由に拾う活動です。
(参考:TechTarget,What is dumpster diving? ダンプスターダイビングとは?)
アメリカやイギリス、ドイツ、デンマークなどで行われていて、通称:Freeganと呼ばれる反消費拡大主義者の人たちや学生によって広く行なわれています。
(参考:英辞郎,freeganとは)
国によってその捉えられ方や規則は様々なので本稿では私が滞在していた”デンマーク”について、また実際の経験談について紹介していきたいと思います!
また、ダンプスターダイビングの目的等については以前のロスゼロブログで紹介がされているのでそちらを参考にしていただけると幸いです!
(参考:ロスゼロ,ダンプスター・ダイビングという活動~食品廃棄を減らしたい~)
デンマークのダンプスターダイビングの特徴と課題
デンマークで行われているダンプスターダイビングの大きな特徴が「違法ではない」ということです。
ダンプスターたちが、集合時間や日時を自由に決定し実行することが一つの活動として許可されています。
一方で課題となるのが責任の所在です。
ダンプスターダイビングによって収集されるものの多くは食品であることから、その品質については確証がなくデンマークの大手スーパーマーケットではダンプスターダイビングが決行されることを妨げるためにゴミ箱にチェーンをかけるなどの対策を行っています。
Facebook上などでいくつかのコミュニティーがあり、ダンプスターたちはオンライン上で情報共有を行い、活動に移すなどして活動を続けており、ダンプスター側と健康被害や食品安全を気にする企業側との間で摩擦が生じているのも現状です。
(参考:University of Copenhagen,Night patrol:Dumpster diving for food in Copenhagen)
私が体験したダンプスターダイビング
ここからは、私がデンマーク滞在中に参加したダンプスターダイビングについて紹介したいと思います。
本来ダンプスターダイビングは、SNS上でのグループや個人によって行われることが多いのですが、私は友人の通うフォレスホイスコーレの授業プログラムの一環として参加をしました。
(参考:一般社団法人IFAS,フォルケホイスコーレとは)
21時45分頃、寮のロビーに集合し車で出発。
ホイスコーレ近くにあるスーパー4軒を22時頃から順に回りました。
各スーパー食品が廃棄されているゴミ箱は1つずつで、中には果物や野菜、生肉、花などが大量に廃棄されていました。
(筆者撮影)
じゃがいも やにんじんは、袋内の一部が緑化や腐敗をしていることが原因で袋ごと廃棄されていることが多く、中身を一つ一つ確認しながら食べられると判断したものを車の中へと救出していきました。
食べられる、食べられないの判断は、先生を中心に五感を頼りにしたもので周囲と相談しながら選別していきます。
そのため、生肉商品に関してはサルモネラ菌など健康被害が発生する可能性もあることから救出することはせずそのまま廃棄するのが賢明であるとしていました。
日本のスーパーで想像する普通のゴミ箱とは異なり、デンマークのゴミコンテナはとても大きいためダイビングという名がつく通り、コンテナの奥に捨てられた食品については実際に中に入り、救出に向かいました。
(コンテナ内に入っている様子:筆者撮影)
多少匂いはきつく感じましたが、
まだ食べられるものを必死に探す時間はとても尊いものでした。
一時間ほどをかけてスーパーを回り、集めたものが以下の写真です。
見た目で廃棄された果物や野菜に加え、賞味期限で廃棄されたカット野菜、当日売り切りのために廃棄されたパンなど食品の種類だけでなく廃棄されている理由にも様々な理由があることがわかります。
救出した食品は寮のキッチンまで持ち帰り、明るいところでさらに選別や洗浄をしたあと、冷蔵庫で保管をしました。
改めて救った食品をみると、”なぜゴミ箱にいたの?”と思ってしまうほどきれいなものも多く、食品を粗雑に扱うことに対するもったいないという感情と消費者への品質保証という責任のバランスの難しさを感じました。
救った食品のその後とは?
夜に救出し、冷蔵庫で保管された食品たちは次の日のお昼ご飯になりました。
(筆者撮影)
洗っておいた食材を並べ、何を作るかみんなで話し合いを行い、担当を決めて調理を行いました。
野菜がたっぷりあったこと、またヴィーガンの仲間がいたことから野菜のポタージュとそれでも余ったじゃがいもとにんじんでマッシュポテト、茶色くなったバナナはデザートとしてアイスクリームにしました!
(筆者撮影)
(筆者撮影)
大量のパンもカリッと焼いて、とても豪華なお昼ご飯が完成しました。
調理をする中で新鮮だったことは、調味調を除いて収集した食材しか使用しないということ。
野菜のポタージュは、軽く塩で味付けを行っただけでも野菜の旨味が凝縮されておりとてもおいしかったです。
また、食品だけでなく捨てられていたお花も食卓に飾ることで空間に彩りを加えました!
(筆者撮影)
「ゴミ」だったとは思えないほどの豪華な食事とお花、そして大自然でいただくランチは本当に贅沢で幸せな時間でした。
まとめ
今回は、私の体験談を中心に「ダンプスターダイビング」についての紹介を行いました。
賛否両論ある活動ですが、私は実際にダンプスターダイビングそしてそれらを調理して食するという経験を通して食べ物の真価を体感する活動としてはいいものなのでは?と思いました。
前日までゴミ箱の中で泥をかぶっていた食品たちが美味しいご飯へと変化し、仲間との素敵な空間を生み出していく過程をみることは、「食べ物=人を笑顔にし、食べられるために生まれてきた」という価値を訴えかけかれているように感じました。
食品が消費者に届く過程には、提供する側の衛生的責任や法律、商習慣など様々なものが関わっていますが、現代の日本では生産と消費、そして廃棄が切り離され自身の目の前にある食べ物が辿ってきた物語が連想されない、食べ物があることが当たり前になっているように感じます。
日々、たくさんの食品がその価値を全うすることなく捨てられているということ、またどんな食品も様々な人の労力のもとにいただけているということが結びつくような食文化が連鎖する社会になればなと思います。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。