こんにちは!学生ライターの井上です!
今回は以前にご紹介した
の続きである、問題点について詳しくご紹介します。
フードバンクの人手・運営費不足
参照:公益財団法人 流通経済研究所
上の図はフードバンクのスタッフのうち、常勤や有給のスタッフがどれほどいるかを表すグラフです。
4割以上の団体には常勤スタッフがおらず、5割以上の団体が無給スタッフによって支えられています。
このグラフを見て、私が率直に感じたのは、無償ボランティアに頼らざる負えない状況なら、定期的なフードバンク活動を行うのは難しいだろうな、ということです。
食という人間にとって欠かせないことだからこそ、定期的に食べ物を必要としている人のもとへ届けることが大切ですが、今のフードバンクの体制ではそうしたことが難しいのです。
また、運営費についても大きな課題を抱えています。アメリカやカナダ、オーストラリア、韓国など多くの国ではフードバンクの活動を支援するために毎年政府や州による数十から数千万ドルの補助金を交付する制度があります。
一方、日本ではそうした継続的な仕組みが整っていないため、多くのフードバンクは寄付金に頼らざるを得ないのです。
(参考:農林水産省)
事故発生時の責任の所在
日本のフードバンクに特徴的なのが、寄付された食品によって食中毒などの事故が発生した場合に、だれが責任を取るべきか法律に明記されていないことです。
諸外国では、たとえ事故が発生しても、寄付者に悪意がない場合はその責任を免除される法律や制度が整っています。
一方、日本にはそうした仕組みがないため、寄付者がもしものときのリスクを恐れて、寄付をためらってしまう可能性があります。
取扱食品の偏り
次に寄付食品の種類について説明します。
上の表は各フードバンクがどのような食品を扱っているかを表しています。
常温加工食品など保存がしやすい食品の取り扱いは多いものの、冷蔵・冷凍食品の集荷や保存ができない団体では、肉や魚、冷凍加工食品などの提供ができず、
取扱品目に偏りが出てしまいます。
つまり、運営費の不足が招くインフラ整備不足が、取扱品目にまで影響を与えているということです。
また、取扱品目は各フードバンクの提供食品の受け取り基準によっても大きく左右されます。
賞味期限が一か月以上ある食品を受け取り対象としている団体は51%、それよりも厳しく、二か月以上とする団体が13%、三か月以上とする団体が5%、となっています。
そのため、賞味期限が基準を満たさない食品は受け入れられず、より取扱品目の偏りが生じてしまいます。
フードバンクがこのような賞味期限の基準を設ける理由として、受給マッチングの問題が挙げられます。
たとえ、フードバンクに食品の提供がされたとしても、その寄付先を見つけるまでに賞味期限が切れて、食品ロスになってしまえば意味がありません。
このように様々な理由から取扱品目の偏りが出てしまうため、寄付を受ける人の栄養バランスまで考慮することが難しいのが現状です。
フードバンクをもっと普及するために
これまで見たように、フードバンクは人手・運営費不足、法制度の整備不足、取扱品目の偏りなど、まだまだ解決するべき問題は山積みです。
これらの問題は決してフードバンクだけで解決できるものではなく、行政が主導して取り組んでいかなければなりません。
フードバンクが継続的に食品を提供し続けられるように、国・地方公共団体には
継続的な補助金、寄付者に対する税の優遇制度、責任の所在を明記する法律、これらをきちんと整えていく責任があります。
また、行政だけでなく、フードバンクの活動を支援するために私たちにもできることがあります。
それが、フードドライブです。
フードドライブとは家庭からフードバンクに食料を寄付する仕組みで、現在多くのフードバンク団体がフードドライブによる寄付を受け付けています。
(フードドライブについてはこの記事に詳しく書かれているので是非読んでみてください!
「フードバンク」と「フードドライブ」の違いって? - ロスゼロブログ
コロナの拡大によって、この先さらに食に困る人が増えると予想されます。
そのような人たちに食の安全保障を提供するために、行政と私たち個人が協力してフードバンク活動を支えていかなければなりません。
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