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国連のUNESCOってどんな組織?

公開日: 更新日:2023.08.31
国連のUNESCOってどんな組織?


第二次世界大戦が終結した直後の1945年、平和の維持と文明の発展に対する教育、科学、文化の重要性を認識した国際社会が集結し、UNESCOは設立されました。
現在では193の会員国と11の準会員国から成る組織で、各国がそれぞれの役割と貢献を通じて機関の運営に参画しています。
フランスの首都パリに位置するUNESCOの本部は、全世界の教育、科学、文化の交流の中心地となっています。

UNESCOの創設理念は、「戦争が人間の心に始まる以上、人間の心の防衛もまた心から始めなければならない」。つまり、教育や文化、科学を通じた理解と尊重の促進を通じて、平和を維持することを目指しています。



UNESCOの目的とその活動

教育

教育を通じた持続可能な開発の推進

UNESCOの教育活動は、基礎的な読み書き能力から科学技術教育、職業訓練、教師養成、持続可能な開発教育まで、幅広くカバーしています。
特に教育を通じた持続可能な開発の推進への取り組みとして、「教育のための持続可能な開発(ESD)」が挙げられます。ESDは、全ての年齢層に対し、持続可能な未来を築くための価値観やスキルを育成することを目指しています。2020年から2030年までの10年間を「ESDの10年」とし、全世界での教育改革を推進しています。
また、2020年には新型コロナウイルスのパンデミックが世界中の学習者に影響を及ぼし、UNESCOは「学習者を守るキャンペーン」を立ち上げ、オンライン学習リソースの提供やリモートラーニングの促進に取り組みました。

科学と技術の進歩を通じた社会問題の解決

科学の領域では、UNESCOは研究者のネットワーク形成、科学政策の策定支援、新技術の普及といった活動を行っており、科学技術の活用を通じて、気候変動、生物多様性の喪失、水資源管理といった現代社会が直面する諸問題の解決を目指しています。
その一環として、地球科学や生物学、エネルギー、水資源管理など、持続可能な開発に直結する科学分野の研究者の協力を促進しています。例えば、「人間と生物圏(MAB)プログラム」は、自然保護と地域社会の持続可能な開発を両立させることを目指すプロジェクトで、現在600箇所以上の生物圏保護区が存在しています。

UNESCOによる文化の保護と促進

文化分野において、UNESCOは世界遺産の保護や無形文化遺産の登録といった活動を通じて、多様な文化の理解と尊重の促進に貢献しています。
無形文化遺産は、その継承が社会の繁栄やコミュニティの結束力向上に寄与するとともに、地域の特性を理解し尊重することで、豊かな知識社会の実現につながります。
また世界遺産は、その普遍的価値を認められた自然や文化財で、2023年現在で1121件が登録されています。これらの遺産は、世界の共有財産とされ、その保護と維持が求められています。

UNESCO「世界遺産」

世界遺産

世界遺産リストとその意義

UNESCOの世界遺産リストは、文化的または自然的価値が全人類の共有財産であると認定された場所や物件を記録したものです。このリストは、1972年に採択された「世界文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」に基づいています。
世界遺産の認定は、人類の文化的、自然的遺産の保護と保存を促進するため、国際的に重要なステップです。認定された遺産は全人類の共有財産となり、その価値が広く認識されることで、各国の取り組みだけでなく、世界全体での保全活動が推進されます。

世界遺産の保護と保存活動

UNESCOは、世界遺産の認定だけでなく、その保護と保存の活動にも深く関与しています。
具体的には、各国や地域の政府や非政府組織と協力し、遺産管理計画の作成、技術支援、訓練、緊急援助などの形で支援を行っています。また、環境変化や戦争、過度な観光開発など、遺産が直面する脅威に対抗するための対策も重視しています。

世界遺産への各国からの協力

世界遺産の保護と保存は、単独の国や組織の取り組みだけではなく、全世界の共同努力が求められます。UNESCOは、各国がその文化遺産を尊重し、理解し、支援するための枠組みを提供しています。
これにより、各国は自国の遺産だけでなく、他国の遺産に対する保護と保存活動にも積極的に関与するよう促されます。この国際的な協力こそが、地球上の貴重な遺産を未来の世代へと引き継ぐための重要なステップです。

UNESCOの財政と活用方法

資金調達

資金源

UNESCOの主な資金源は加盟国からの定期的な拠出金で、これらは各国の国連への貢献額と同様に、その国の経済規模に基づいて決定されます。これらの拠出金はユネスコの一般予算の基盤となります。
加盟国の拠出金以外にも、任意の拠出金やパートナーシップ(企業や他の国際機関との)による資金、さらには特定のプロジェクトやプログラムに対する指定寄付などもユネスコの資金源として活用されます。これらは特別予算資金として扱われ、特定のプロジェクトやイニシアチブに向けられます。

財政管理

UNESCOの財政管理は非常に厳格で、透明性と責任を確保するためのいくつかの重要なプロセスとチェック・バランスが組み込まれています。
主要な財政文書は2年ごとに作成されるプログラム・バジェットであり、一般会議で全加盟国によって承認されます。また、財政管理は、内部監査と外部監査の両方によって厳しくチェックされ、定期的に財務状況についての詳細な報告はウェブサイト上で誰でも閲覧することができるようになっています。
これらのメカニズムを通じて、UNESCOはその財政管理における透明性と説明責任を維持しています。

資金の活用

UNESCOは、その資金を教育、科学、文化、そしてコミュニケーションと情報の4つの分野に振り分け、多岐にわたるプロジェクトや活動を支援しています。
教育分野では、品質とアクセスの向上を目指す世界的な取り組みを支援しています。科学分野では、科学的研究の促進と、科学政策の策定を支援しています。文化分野では、文化遺産の保護と文化多様性の推進を行っています。最後に、コミュニケーションと情報分野では、情報社会の開発と自由な表現の保護に取り組んでいます。
これらの活動は、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に寄与するよう設計されており、ユネスコの資金は最終的にはこの目標達成に向けて使われます。

UNESCOと国際機関

世界のお金

国際連合(UN)

UNESCOは国際連合の専門機関の一つであり、その目標と活動は国連の持続可能な開発目標(SDGs)と密接に関連しています。UNESCOは教育、科学、文化、コミュニケーション、情報の5つの分野での国際協力を促進し、これにより全人的な発展と持続可能な開発のための平和な環境を実現しようとしています。
国連とUNESCOは共通の目標と価値観を共有し、互いの活動を補完し合う関係にあります。

世界銀行(WB)と国際通貨基金(IMF)

UNESCOは、教育や科学、文化、コミュニケーション、情報の分野でのプロジェクトを開発し、実施する際に、世界銀行や国際通貨基金といった金融機関と協力します。これらの機関は資金や技術支援を提供し、プロジェクトの実現に貢献します。
また、これらの機関との協力により、教育や科学、文化の分野における公正な政策の推進や、資源の効率的な活用が可能になります。

非政府組織(NGO)

UNESCOは多くの非政府組織と協力し、共同でプロジェクトを開発し、実施します。
これらの組織とのパートナーシップにより、特定の分野での専門知識や地方へのアクセス、地域社会との繋がりなどが提供され、プロジェクトの効果的な実施が可能になります。また、NGOとの協力により、教育、科学、文化、コミュニケーション、情報の分野での持続可能な開発の促進が可能になります。

日本とUNESCO

日本の世界遺産

資金提供と技術支援

日本は1951年にUNESCOに加盟し、それ以降、大きな資金提供国として、教育、科学、文化、そしてコミュニケーションと情報の分野での多くのプロジェクトに貢献しています。
また、日本の科学技術の知見は、UNESCOの様々なプログラムにおいて、具体的な支援として利用されています。

世界遺産と文化遺産の保護

日本には多数の世界遺産が存在し、これらの遺産地は文化的・自然的価値の保護と普及において重要な役割を果たしています。また、日本は無形文化遺産の保護と普及においても、主導的な役割を果たしています。
これらの遺産地は、日本の文化と自然の美しさを認識し保護するとともに、国内外からの観光を促進しています。

教育と科学のパートナーシップ

日本は、教育と科学におけるグローバルなリーダーシップを通じて、UNESCOの活動に貢献してきました。
日本は、持続可能な開発のための教育(ESD)や科学技術イノベーションポリシーの開発における重要なパートナーであり、世界中にノウハウとリソースを提供しています。

UNESCOによるイニシアチブ

通信

UNESCOによる教育プログラムとイニシアチブ

UNESCOは教育の品質と公平性の向上を目指し、様々なプログラムとイニシアチブを展開しています。
その中でも「持続可能な開発のための教育(SED)に関するグローバル・アクション・プログラム」は2030年の持続可能な開発目標(SDGs)の達成を目指し、品質の高い教育を全ての人々が受けられるよう支援しています。これには、教育者へのトレーニングやリソースの提供、学習環境の改善、教育政策の改革が含まれます。

科学と技術に関する国際協力の強化

UNESCOは、科学と技術における国際協力の強化にも取り組んでいます。
例えば、科学的知識の普及を目指す「Science Week」や、若い研究者や女性の科学者を支援するプログラムなどがあります。また、「世界科学デー」を通じて、科学と社会の結びつきを強調し、科学的思考の価値と科学による持続可能な開発への貢献を広く認識させる取り組みも行っています。

文化と情報通信技術に関するプログラムとイニシアチブ

UNESCOは文化と情報通信技術の分野でも重要な役割を果たしています。多様な文化の保護と推進を目指す「世界文化多様性デー」や、デジタルリテラシーの普及を支援する「情報リテラシーの週」など、数多くのプログラムとイニシアチブが実施されています。
これらの活動は、情報社会における教育、情報へのアクセス、表現の自由といった課題に対応するため、全世界のパートナーシップを促しています。



国際連合教育科学文化機関(UNESCO)

日本ユネスコ国内委員会

ユネスコ北京事務所(クラスターオフィス)

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この記事を書いた人

中川

環境開発学を専攻し、大学時代に訪れた北欧でエコライフに目覚めました。帰国後、国内外のエコプロジェクトに参加し、サステナブルな食文化や食品ロス削減のヒントを発信しています♪

監修者

文 美月

株式会社ロスゼロ 代表取締役
大学卒業後、金融機関・結婚・出産を経て2001年起業。ヘアアクセサリーECで約450万点を販売したのち、リユースにも注力。途上国10か国への寄贈、職業支援を行う。「もったいないものを活かす」リユース経験を活かし、2018年ロスゼロを開始。趣味は運動と長風呂。