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東京・大阪 大都市の緑化と持続可能性

公開日: 更新日:2023.12.26
東京・大阪 大都市の緑化と持続可能性


我々が生活する都市空間がどんどん発展し、ビルや高速道路などのコンクリートジャングルが広がる中、私たちの健康、安心、そして地球の健康にとって、緑のスペースは大変重要です。

日本の二大都市、東京と大阪市の現状と取り組みを学び、都市の緑化と持続可能性について考えていきましょう。

東京都と大阪市

都会と公園

緑の風景

東京と大阪、二つの都市の緑化面積を比較してみましょう。
2022年時点で、東京都の公園緑地面積は約36%、一方、大阪市は約9%とされています。

緑地面積が多い東京は、ビル群の中に公園や庭園が点在し、豊かな自然環境が都市生活に彩りを添えています。

一方、大阪も歴史的な公園や河川緑地を活用した緑化が進んでいますが、都市全体としての緑地率は東京よりも低く、都市風景における緑の存在感は東京よりも控えめです。

都市緑化計画

東京都は「緑の東京計画」を策定し、都心部の緑地保存や新たな緑地の創出、市民参加型の緑化活動の推進など、積極的な緑化を推進しています。

一方、大阪市は「大阪市緑の基本計画」を立案し、市民が自然と触れ合える空間の確保や生物多様性の保全を目指しています。

「都会のオアシス」東京の公園

東京の公園

東京の緑化率と公園の役割

東京都内には、2022年時点で約6,400の公園が存在し、全体の緑地面積は都内総面積の約36%を占めます。

公園や緑地は、ただ美観を保つだけでなく、市民の健康維持や生活環境の改善に寄与しています。加えて、緑化が進むことで熱島効果の軽減や生物多様性の維持といった都市環境改善にもつながると考えられています。

緑化事業による公園のリニューアル

東京では緑化事業により、公園のリニューアルが行われています。

例えば、2016年にリニューアルオープンした日比谷公園は、東京都の緑化事業の一環として、広大な芝生広場やカフェなどが新設され、多機能公園として都民の新たな憩いの場となりました。

このようなリニューアルは、都市の魅力向上や観光資源としての機能の向上も果たしています。

公園が目指す姿

東京の自然公園ビジョンは、自然との触れ合いを重視した公園、多様なアクティビティを楽しめる公園、誰もが利用しやすい公園、環境に配慮した公園、地域に根ざした公園を目的に策定されました。

身近な公園では、多種多様な樹木が植えられ、四季折々の風情が楽しめる公園や、子どもから高齢者まで楽しめる遊具や施設が整備された公園などが挙げられます。

これらの公園は、緑豊かな環境でありながらも、都民の生活に密着した機能を持つことが特徴となっています。

大阪市の公園と緑地:休息とリフレッシュ

大阪城公園

大阪のリフレッシュスポット

大阪市には大小さまざまなリフレッシュスポットがあります。

中でも大阪城公園は、自然環境が豊かで四季折々の風情が楽しめ、また、歴史的建造物である大阪城も見学できます。

別の推奨スポットとしては、豊富な自然と共に親水空間も楽しめるなんばパークスも人気で、ショッピングや食事を楽しんだ後には、自然豊かな緑地で心地よい時間を過ごすことができます。

大阪市の都市公園

大阪市は近年、市民の憩いの場を提供するために、都市部に位置する公園の整備に力を入れています。例えば、中之島公園は、旧大阪公会堂や中之島図書館といった歴史的建造物を背景に、美しいバラ園が設けられ、市民や観光客から人気を集めています。

また、天然温泉も併設した大阪府立花博記念公園や、市民が生活の中で自然に触れ合うことができる大阪市立自然環境公園などがあります。

これらの公園は、都市生活の中に自然を取り入れ、市民の心身の健康と生活の質向上に寄与しています。

東京の緑化政策:成功の秘訣とは?

ビルの緑化

緑化計画の成功

東京の緑化計画の成功への道のりには、幾つかの要素が組み合わさっています。
中でも、「東京緑化計画の手引き」が一つの指針となっており、緑地の確保と緑化の推進、都市の緑地網の形成といった具体的な方針が示されています。ここでは緑地を都市計画の中心に位置付け、緑化率の向上を目指してきました。

具体的には、公園や街路樹、屋上緑化などを進めることで、都民の生活環境の改善を図っています。

緑化ビル政策とは

東京都の新たな都市開発の道として注目されているのが「緑化ビル政策」です。
これはビルやマンションなどの建築物において、緑化を行うことを推奨する政策で、建物全体の緑化面積が一定割合以上となる場合、建築基準法に基づく建築確認申請の際に特例が認められます。

これにより、ビル自体が緑豊かな空間となり、都市環境の改善に寄与しています。

緑化助成金

東京の緑化政策の一環として、「緑化助成金」の存在が挙げられます。

これは、市民や企業が自主的に緑化活動を行うための経費を補助する制度で、一定の要件を満たすことで申請可能です。この助成金により、自宅の庭やオフィスの緑化、屋上や壁面の緑化といった多様な緑化活動が促進されています。

大阪市に見る未来の都市緑化:課題と可能性

川と公園

大阪市の緑化計画書

大阪の緑化に関する未来へのビジョンは「大阪市緑の基本計画」に具体的にまとめられています。

この計画は公園や緑地の増設、既存の緑地の充実、市民参加の推進といった具体的な施策を掲げ、より豊かな都市緑地環境の実現を目指しています。その中でも、市民一人一人が緑化に参加し、自分たちの住む街を自分たちの手で緑豊かにしていくというビジョンは、特に力強く描かれています。

大阪市の緑化:水辺との調和

大阪市は水辺との調和を生かした緑化を進めており、独自の魅力を持つ都市緑地を形成しています。

これから大阪の緑化が進めば、それは新たな都市緑化のモデルとなる可能性があります。

緑化ボランティア

大阪市では「緑化ボランティア」が活発に行われています。
市民自身が地域の緑化活動に参加し、公園の清掃や植物の植栽、管理を行っています。これらの活動は、地域コミュニティを活性化させるだけでなく、都市緑化の推進にも大きく貢献しています。

このような市民参加の取り組みは、大阪の緑化の未来を担う重要な要素と言えるでしょう。

緑豊かな都市:人々の生活にどのように影響を与えているか?

屋上緑化

街路樹の役割

街路樹は、都市の風景を美しくするだけでなく、都市環境の改善にも寄与しています。

暑さを和らげる、大気汚染を軽減する、野生生物の生息地を提供するなど、街路樹は都市生活者の健康と生活の質を高めています。また、道路の安全性向上にも一役買っており、交通事故の防止にも役立っています。

緑化ビルとオフィス緑化:働き方に与える影響

大都市では働く環境に自然を取り入れることが注目されています。

緑化されたオフィスやビルは、労働者のストレス軽減や生産性向上に寄与します。また、緑化ビルは熱島現象の緩和やエネルギー消費の削減にも貢献しています。

屋上緑化:住環境を豊かにする新たな取り組み

高層ビルが立ち並ぶ都市部では、屋上緑化が進められています。

屋上緑化は、都市の緑の量を増やすだけでなく、建物の断熱効果を高めることでエネルギー効率を向上させる役割も果たします。さらに、屋上の緑は居住者のリラクゼーションスペースとしても機能します。

公園の役割

公園は住民の健康やリフレッシュに大きな影響を与えています。公園は運動やリラクゼーションの場所であり、また地域コミュニティの形成を助ける役割も果たしています。

WHOの報告によれば、定期的に公園を利用する人々は心身の健康を維持しやすく、生活満足度も高いとされています。

都市緑化と持続可能性

桜とメジロ

都市緑化と生物多様性

都市の緑化計画は生物多様性を維持するための重要な戦略です。新たな緑地の創出だけでなく、生息地の保全や回復も同時に進められています。

これにより、都市部でもさまざまな野生動植物が生存できる環境が維持されています。

東京と大阪での緑化推進の現場

都市緑化が持続可能な都市開発の一部として認識され、その推進に関わる職業の需要が増えています。

緑化技術者や緑化コンサルタント、緑地管理員などの専門職は、公共の緑地だけでなく、個人の庭やビルの屋上緑化など、多様な緑化プロジェクトの設計や管理に携わっています。

また、緑化事業に特化した企業も都市緑化の推進に大きく寄与しています。
これらの企業は、公共の緑地や公園、屋上緑化などのプロジェクトを手がけ、都市部での自然との共生を実現しています。また、これらの企業は緑化に関する技術的な知識や経験を持つ専門家を雇用し、都市緑化の専門性を高めています。


都市の緑化は、持続可能な都市環境を実現するために重要な一歩です。私たち一人一人が緑化に参加し、地域社会の持続可能性に寄与することが求められています。

東京や大阪のような大都市でも、緑の力で生活の質を向上させ、都市環境を保全するための努力がなされています。これらの取り組みを広め、他の都市でも同様の取り組みが行われることを期待したいですね。

【参考資料】

東京都環境局:自然環境
大阪市:緑化


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この記事を書いた人

中川

環境開発学を専攻し、大学時代に訪れた北欧でエコライフに目覚めました。帰国後、国内外のエコプロジェクトに参加し、サステナブルな食文化や食品ロス削減のヒントを発信しています♪

監修者

文 美月

株式会社ロスゼロ 代表取締役
大学卒業後、金融機関・結婚・出産を経て2001年起業。ヘアアクセサリーECで約450万点を販売したのち、リユースにも注力。途上国10か国への寄贈、職業支援を行う。「もったいないものを活かす」リユース経験を活かし、2018年ロスゼロを開始。趣味は運動と長風呂。